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コラム

【コラム】愛猫の爪とぎ問題|適切な爪とぎ場を作って家具を守る方法

猫と一緒に暮らしていると「せっかく新調したソファが気づけばボロボロに…」「壁紙にいつの間にか引っかき傷がある…」といったお悩みを抱えている飼い主様も多いのではないでしょうか。

こうした行動を見かけると、つい「ダメ!」と叱ってしまいがちですが、爪とぎは猫の本能に基づいた大切な行動です。そのため、無理にやめさせるのではなく、「どこで爪とぎをしてもらうか」を工夫することが、猫との快適な暮らしにつながります。

今回は、猫も飼い主様もストレスなく快適に暮らすために、爪とぎの理由や対策、年齢や健康状態に応じた配慮などについてご紹介します。

なぜ猫は爪とぎをするの?

猫の爪とぎは、ただのいたずらや気まぐれではなく、以下のような理由があります。

 

<爪の手入れ>

猫の爪は層構造になっています。爪とぎによって古い外側の層がはがれ、内側の鋭くて新しい爪を出すことができます。これは、狩りや身を守るための本能的な行動です。

 

<マーキング>

猫の肉球には臭腺があり、爪とぎをすることで爪痕と同時ににおいをつけて、縄張りを主張します。

 

<ストレッチ>

背伸びをしながら爪を研ぐ行動は、ストレッチをしていると言われています。寝起きに爪とぎをする姿がよく見られるのは、このような理由からです。

 

<気分転換>

ストレスが溜まったときや気持ちをリセットしたいときに、爪とぎをすることがあります。

 

<縄張りの主張>

特に多頭飼いの環境や外の猫と接触のある場合、自分の存在をアピールする手段として、飼い主様の目の前や他の猫の近くで爪とぎをすることがあります。

 

爪とぎに最適な場所とは?

猫は寝起きの直後や食後、遊ぶ前など、日常のさまざまなタイミングで爪とぎをします。そのため、リビングや寝室など、猫がよく過ごす場所の近くに爪とぎアイテムを置いておくと、自然と使ってもらいやすくなります。

 

中でも、部屋の出入り口や角、飼い主様の目に入りやすい場所など、猫が注目を集めたいと感じる場所に設置するとより効果的です。

 

爪とぎアイテムの選び方とポイント

爪とぎアイテムには、大きく分けて以下の2つがあります。

 

<縦型(壁に立てかけて使うタイプ)>

木登りのような動きを好む猫に向いています。猫が体をぐっと伸ばしながら爪とぎできるため、十分な高さがあるものを選ぶと良いでしょう。

 

<横型(床に置いて使うタイプ)>

地面を掘るような動作を好む猫におすすめです。猫の体を十分に乗せられるサイズや、動かない安定感のあるものを選びましょう。

 

また、爪とぎアイテムを選ぶ際は、素材にも注目しましょう。素材には段ボールや麻、木、布などの種類があり、猫によって好みの感触が異なります。そのため、いくつかの素材を試してみて、愛猫が気に入るものを見つけてあげることが大切です。

お気に入りの素材が見つかれば、自然と爪とぎの場所も定まりやすくなります。

 

猫が使いたくなる爪とぎ環境の整え方

猫の爪とぎは本能的な行動であり、無理にやめさせることは困難です。そのため、猫が安心して爪とぎできるよう、以下のような環境づくりを心がけることが大切です。

・よく爪とぎをする場所の近くに、似た感触の爪とぎアイテムを設置する
・使い慣れた布やマットを爪とぎアイテムのそばに置く
・爪とぎアイテムに「またたび」を少量ふりかけて興味を引かせる

 

<家具を守るための工夫>

以下のような工夫を取り入れることで、爪とぎによる家具への被害を抑えることができます。

・壁には透明の保護シートを貼り、引っかき傷を防ぐ
・ソファには専用のカバーをかけ、布地の傷や汚れを防ぐ
・市販の忌避剤を使用して猫の接近を抑える(※使用時は成分や使用量に十分注意し、猫の体調に配慮する)

 

間違った対策とその理由

以下のような方法で無理に爪とぎをやめさせようとすると、かえって猫にストレスを与えたり、別の問題行動につながったりする恐れがあります。

 

<叱る・驚かす>

過度に叱ったり、大きな音を立てて驚かせたりしても、猫にはその意図がうまく伝わりません。それどころか、飼い主様との信頼関係が損なわれたり、ストレスや恐怖からさらに問題行動が悪化したりすることもあります。こうした方法は避け、猫の気持ちに寄り添った対応を心がけましょう。

 

<爪切りのやりすぎ>

爪を短くしすぎると、出血したり、痛みを伴ったりする可能性があります。そのため、無理に深く切るのではなく、先端だけをこまめに整えるようにしましょう。

 

<忌避剤の使いすぎ>

市販の忌避剤は一時的な対策として有効です。しかし、過剰に使用すると猫が体調を崩したり、ストレスを感じてしまったりすることもあります。使用する際は、成分や使い方、頻度に十分注意し、様子を見ながら慎重に取り入れましょう。

 

年齢・健康状態別の配慮

猫の年齢や健康状態によって、爪とぎの仕方や必要なサポートは異なります。

 

<子猫の場合>

生後1か月を過ぎた頃から、自分の意志で爪を出し入れできるようになります。特に生後2~3か月は社会化期と呼ばれ、さまざまな習慣を身につける大切な時期です。このタイミングで爪とぎアイテムに慣れさせると、成猫になってからもスムーズに使ってくれます。また、おもちゃで誘導するなど、遊びの延長として取り入れてみましょう。

 

<シニア猫の場合>

高齢になると関節に痛みを伴うことがあります。縦型の爪とぎアイテムは負担になりやすいため、無理のない高さに調整したり、横型のものに変更したりする配慮が必要です。

 

<多頭飼いの場合>

多頭飼いの環境では、猫同士の関係性によって、立場の弱い猫が遠慮して爪とぎを避けてしまうことがあります。そのため、すべての猫が安心して使えるよう、爪とぎアイテムは複数の場所に設置しましょう。

 

また、以下のような様子が見られる場合、単なる習慣ではなく、ストレスや体調不良のサインである可能性があります。

・長時間にわたって爪とぎをしている
・声をかけてもやめない
・出血するほど爪とぎが激しい

 

こうした異常が見られた際は、早めに動物病院に相談しましょう。

 

まとめ

猫取って爪とぎはただの癖ではなく、心と体の健康を保つために欠かせない本能的な行動です。そのため、無理にやめさせようとするのではなく、猫が安心して爪とぎができる環境を整えてあげることが大切です。

また、年齢や体調に合わせた対応を心がけることで、猫との暮らしはより穏やかで心地よいものになります。

当院では、爪とぎに関するお悩みにも対応しております。「どう対策すればいいのか分からない」「環境の整え方に悩んでいる」など、不安なことがありましたら、お気軽にご相談ください。

飼い主様と愛猫が安心して快適に過ごせるよう、スタッフ一同、丁寧にサポートさせていただきます。

 

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