コラム
【コラム】室内飼いの猫の運動不足解消法|肥満予防と健康維持のための遊び方ガイド
最近、愛猫が「あまり遊ばなくなった」「なんだか丸くなってきたかも…」と感じたことはありませんか?
近年では、猫を完全に室内で飼うスタイルが主流となっていますが、その反面、自由に体を動かす機会は減少しています。
動くものを追いかけて捕まえるという本能を持つ猫にとって、運動不足はストレスや肥満の原因となり、放っておくと健康に悪影響を及ぼすこともあります。猫と長く健やかに暮らしていくためには、適切な運動を習慣づけることが大切です。
今回は室内飼いの猫の運動不足解消法について、肥満による健康リスクや年齢・性格に合わせた運動促進法、食事管理のポイントなどをご紹介します。
室内飼いの猫が抱える運動不足のリスク
室内飼いの猫でよく見られるのが、運動不足による「肥満」です。肥満になると、以下のような病気を引き起こすリスクが高まります。
・糖尿病
・関節疾患
・心臓疾患
また、活動量が減ることでストレスが蓄積し、それに伴い免疫力が低下する恐れもあります。免疫力が落ちると病気にかかりやすくなるだけでなく、食欲不振や元気の低下といった変化が見られることもあるため、注意が必要です。
猫の体型を正しく判断する方法とは?
猫の体型を客観的に判断するためには、「ボディコンディションスコア(BCS)」という指標が役立ちます。BCSとは、猫の体型を視覚と触診によって評価する方法で、健康的な体重を保てているかどうかの目安になります。
このスコアは5段階で評価され、それぞれの段階ごとに理想体型とのズレが分かるようになっています。各段階の目安は以下のとおりです。
<BCS1(痩せ)>
肋骨や骨盤が容易に触れられる状態です。横から見ると腹部が深く吊り上がり、上から見ると極端な砂時計型に見えます。
<BCS2(やや痩せ)>
肋骨や背骨が簡単に触れられます。腹部のくびれはわずかに見える程度です。
<BCS3(理想体型)>
肋骨は触れることができますが、見た目からは確認できません。腰に軽いくびれがあり、腹部は自然な丸みを保っています。
<BCS4(やや肥満)>
肋骨の上に脂肪が少しつき、腹部が垂れ下がっています。歩いているときにお腹が揺れる様子が見られます。
<BCS5(肥満)>
肋骨や背骨が脂肪に覆われて触れにくい状態です。腹部は大きく垂れ下がり、腰のくびれは見られません。
また、猫の体型を確認する際は、日頃のスキンシップの時間を活用して行うのがおすすめです。なでたり抱っこしたりする中で、自然と体の状態の変化に気づくことができます。愛猫の健康を守るためにも、太りすぎや痩せすぎに早く気づけるよう、普段からこまめに観察する習慣をつけましょう。
猫の本能を活かした遊びで運動不足を解消
猫は「追跡」「飛びつき」「捕獲」といった狩猟本能を持っています。この本能を満たす遊びは、運動不足の解消だけでなく、ストレス発散にも繋がります。
ただし、猫は瞬発力に優れている反面、持久力はあまりありません。そのため、短時間でこまめに運動させるには、以下のような工夫が効果的です。
・1回の遊び時間は5〜10分程度
・1日数回に分けて行う
・夕方〜夜など猫が活発になる時間帯に遊ぶ
・遊びの終わりは自然にフェードアウトさせる(おもちゃを隠すなど)
こうした遊び方を習慣にすることで、猫の本能を満たしながら無理なく運動量を維持できます。
猫が喜ぶ運動環境の作り方
猫は上下運動が得意な動物です。そのため、室内でも運動ができるように、以下のような工夫を取り入れると効果的です。
・キャットタワーを設置して、高低差をつくる
・壁に棚を設置して、ジャンプや昇り降りができる場所を増やす
・窓辺に棚や止まり木を設置し、外の景色を眺められるようにする
こうした工夫は、猫の運動量を増やすだけでなく、毎日の生活に良い刺激を与えることにもつながります。体を動かすことでストレス発散にもなり、猫の心と体の健康をサポートする環境づくりができます。
猫の年齢・性格に合わせた運動促進法
猫の運動量や遊び方は、年齢や性格によって異なります。以下のポイントを参考に、それぞれに合った無理のない運動を取り入れましょう。
<子猫の場合>
子猫は好奇心旺盛で非常に活発です。動くものや音に敏感に反応するため、羽がついた猫じゃらしやボール、カシャカシャ音の出るおもちゃなどを使うと、夢中になって遊んでくれます。高低差のあるキャットタワーやクッションなどを使った「のぼりおり遊び」もおすすめです。
<成猫の場合>
成猫は子猫ほど活発ではないものの、狩猟本能が強く残っています。猫じゃらしやレーザーポインターを使った「追いかけっこ」などの遊びは特に効果的です。ほかにも、自動で動くおもちゃや、トンネル状のおもちゃを使って「獲物を探すような動き」を取り入れると、運動量を自然と増やすことができます。
<シニア猫の場合>
シニア期の猫は、関節や筋力の衰えにより激しい運動は負担になることがあります。そのため、短時間・低負荷の運動を取り入れましょう。たとえば、床に置いた猫じゃらしをゆっくり動かしたり、おやつを使って少しずつ移動してもらうような遊びが適しています。ほかにも、マッサージやストレッチを兼ねたスキンシップも取り入れると良いでしょう。
また、猫の性格に合わせて、以下のような遊び方を工夫することも大切です。
<臆病な猫やおっとりした性格の猫の場合>
静かで落ち着いた環境での遊びが向いています。急な音や動きに敏感な子も多いため、音の出ないおもちゃや、飼い主様と一対一でゆったりとしたペースで遊ぶようにしましょう。安心できる場所で遊ぶことで、信頼関係の構築にもつながります。
<活発で好奇心の強い猫>
たくさん体を動かせるような遊びを取り入れると、満足感を得られやすくなります。例えば、キャットタワーを使って上下運動を促したり、猫じゃらしを用いた遊びを取り入れると、運動不足の解消にも効果的です。定期的におもちゃを変えることで、飽きずに興味を持ち続けてくれます。
<肥満傾向の猫の場合>
無理に動かそうとするのではなく、まずは食事の管理から見直し、少しずつ軽い運動を取り入れていくと良いでしょう。例えば、ごはんの時間にフードパズルを使ったり、トンネル型のおもちゃを通り抜けながらご褒美を与えるなど、遊びと食事を組み合わせる方法もおすすめです。猫のペースに合わせて、楽しみながら継続できるように工夫することがポイントです。
食事管理で運動をサポート
肥満予防や健康維持のためには、食事管理も欠かせません。食生活を見直すことで、より効果的に体重をコントロールできます。
以下のようなポイントを意識してみましょう。
・食事の量・回数・時間を見直す
・食事の内容を年齢や体重に合わせて調整する
・フードパズルやトリーツボールを使い、食事を「遊び」として楽しめるよう工夫する
・減量が必要な場合は、獣医師に相談しながら進める
なお、過度なダイエットは猫の体調を崩す原因になることがあります。必ず獣医師と連携しながら、無理のないペースで進めることが大切です。
まとめ|毎日のちょっとした工夫が猫の健康を守る
ぽっちゃりした猫は愛らしい存在ですが、健康のためには適度な運動と適切な食事管理が欠かせません。室内での暮らしが中心となる猫にとって、運動の機会をいかに自然に取り入れるかが大切です。
また、日々の遊びは、飼い主様との信頼関係を深める時間でもあります。年齢や性格に合わせた工夫を取り入れることで、猫が楽しみながら体を動かせる環境が整い、健康寿命をのばすことにもつながります。
当院では、こうした運動や食事による体重管理についてのご相談も受け付けています。気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
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