コラム
【コラム】さまざまな病気の原因┃犬と猫の肥満対策について
犬や猫にとって、肥満は深刻な問題です。実際に動物病院を訪れる犬や猫の約60%が肥満であると報告されています。そのため、肥満対策に頭を悩ませている飼い主様も多いのではないでしょうか。
今回は犬と猫の肥満対策について、肥満がもたらす健康リスクや原因などをご紹介します。
肥満がもたらす健康リスク
肥満は「万病のもと」という言葉があるように、実際に肥満が健康に影響するリスクは大きいです。特に、肥満が原因で引き起こされる病気の中で最も多いのが糖尿病です。また、肥満は足腰や関節に慢性的な負担をかけるため、関節疾患や椎間板ヘルニアといった病気のリスクも高まります。
ほかにも肥満は心臓や血管にも大きな負担がかかるため、心疾患や高血圧など、循環器系の病気や気管虚脱など呼吸器系の病気へのリスクも高まります。さらに、腫瘍のリスクが上がる可能性もあります。
肥満の原因
肥満は摂取エネルギーが消費エネルギーを上回り、余ったエネルギーが脂肪として貯蓄されることが原因です。
食事量が過剰であり、不適切な食事内容によるエネルギー過多に加え、運動不足や去勢・不妊手術後の代謝変化による消費エネルギー不足が加わると肥満になりやすいと言われえています。また、年齢によって代謝が異なり、必要なエネルギーも変わってくるため、中年以降になっても若い時と同じようなエネルギー摂取を続けると肥満になります。
肥満の判断基準
犬や猫の肥満は、体重だけでなくボディコンディションスコア(BCS)からも判断します。BCSは犬や猫の見た目や、触った感触で適正な体型かどうかを判断するもので、1~5段階に分類されます。
BSC 1:痩せ
BSC 2:やや痩せ
BSC 3:理想体型
BSC 4:やや肥満
BSC 5:肥満
理想の体型はBSC3で、上から見たときに、腰のくびれが少し見られ、横から見たときに、腹部がややつりあがる状態です。肋骨は見た目ではわかりませんが、触れると骨にしっかり触ることができる状態です。
また、ご自宅でも、環境省のガイドラインなどを参考に、愛犬や愛猫のBCS
を確認してみましょう。
肥満対策
肥満防止のためには以下を対策することが重要です。
<食事管理>
食事は年齢に適した専用フードを選び、パッケージに記載された体重に基づいて与えることが重要です。ただし、すでに肥満気味の犬や猫に関しては、現在の体重に合わせた量のフードではカロリーオーバーです。そのため、まずは犬や猫の適正体重を確認し、適正体重に基づいた適切な量を与えるようにしましょう。
おやつのあげすぎにも注意が必要です。おやつを与える際には、その分、食事量を減らすことが大切です。また、健康のために与えている歯磨きガムなども、積み重ねで肥満の原因になることがあるため、できるだけカロリーの低いものを選ぶように心がけましょう。
また、少量のフードで我慢ができない犬や猫には、知育玩具などを使って遊びながらフードを与えることで、時間がかかり満腹感も得やすくなります。
<運動などの生活習慣改善>
肥満改善には運動が欠かせません。犬の場合は散歩、猫の場合はキャットタワーなどの設置で上下の動きを促すことが効果的です。
ただし、すでに肥満気味の犬や猫の場合、急に運動をさせると足腰を痛めるリスクがあります。そのため、適切な運動量については、動物病院で相談しながら徐々に取り入れていくことが大切です。
獣医師による定期健康診断の重要性
肥満対策には、日常的なケアに加えて、獣医師による定期的な健康チェックを受けることが大切です。さらに血液検査やレントゲン検査を行うことで、見た目だけでなく、血液中の栄養バランスや脂肪の量、肝臓や腎臓の健康状態も把握することができます。また、犬や猫の状態に応じた最適なダイエット方法についても、獣医師からアドバイスを受けることが推奨されます。
まとめ
犬や猫が食事を楽しんでいる姿を見ることは、飼い主様にとって幸せな瞬間ですよね。しかし、肥満は愛犬や愛猫の寿命を縮めてしまう可能性があります。そのため、大切な家族が元気で長生きできるように、長期的な健康管理の一環として、正しい肥満対策を心がけることが重要です。
もし肥満対策に悩んだ際は、ぜひ動物病院に相談してみると良いでしょう。
川崎市中原区の「馬場動物病院」
TEL:044-777-1271
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