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【コラム】要注意!|犬や猫の舐め壊しの危険性と治療法
犬や猫の舐め壊しは、体の一部を過剰に舐め続ける状態を指します。皮膚が赤くなったり毛が抜けたりといった症状が見られ、重度の場合はまさに皮膚が「壊れて」しまい、出血してしまうこともあります。
さらに放置すると、傷口から細菌感染を起こしたり、皮膚が厚く硬くなったり、黒ずんだりすることもあります。そのため、なるべく早い段階で治療を行うことが大切です。
今回は犬と猫の舐め壊しについて、症状や予防法、治療法などを解説します。
舐め壊しはなぜ起こるの?
犬や猫は体についた汚れやニオイを取ったりリラックスしたりするために、自分の体を舐める習性があります(グルーミング)。しかし、以下のような要因があると過剰に舐め続けてしまい、舐め壊しに繋がることがあります。
<心理的要因>
犬や猫はストレスが溜まると、気持ちを落ち着かせようとしてグルーミングが過剰になることがあります。
<身体的要因>
皮膚にトラブルが起こると、痒みから皮膚を舐め壊してしまうことがあります。犬や猫の皮膚トラブルは多岐にわたりますが、中でもアレルギー性皮膚炎は痒みが強く出るため、舐め壊しに注意が必要です。
舐め壊しの症状と進行度合い
手や足の先、腕など、体の同じ場所をしつこく舐めたり噛んだりして、次第に皮膚の赤みや脱毛が目立つようになります。また、重度の場合は皮膚が傷ついて出血したり、二次感染を起こしたりすることもあります。
このような状態を放置してしまうと、皮膚が象のように硬く厚くなったり色素沈着してしまったりするため、早急に治療を行う必要があります。
また、皮膚の状態を毎日見ていると症状の変化がわかりにくいため、スマホなどで写真を撮って記録しておくと、客観的に判断しやすくなるのでお勧めです。
犬の舐め壊しの特徴
犬の舐め壊しは、口が届きやすい足先や関節周りなどに好発します。運動不足や長時間の留守番、環境の変化などにストレスを感じることが多いため、散歩の時間や室内遊びの時間を増やしたり、愛犬が安心感を得られるようにコミュニケーションの時間を増やしたりして、舐め壊しを予防しましょう。
猫の舐め壊しの特徴
猫は騒音や不衛生な飼育環境、環境の変化などにストレスを感じる傾向にあります。また、縄張り意識が強いため、新しく迎え入れた猫によってテリトリーが侵害され、強いストレスを感じることもあります。
猫の舐め壊しはおなかや背中に好発するため、急におなかや背中のグルーミングの時間や回数が増えた場合や、おなかや背中に毛が短くなっている箇所がある場合などは、早めに病院を受診しましょう。
自宅でできる応急処置と予防法
まずは応急処置として、患部に口が届かないようにエリザベスカラーを装着しましょう。カラーの大きさがわからない場合は、完全に鼻が隠れる長さで、かつ首とカラーの間に指が2本入るものを選んでください。
また、それと同時にストレスの原因を取り除く必要があります。原因がわからない場合や取り除くのが難しい場合は、運動量を増やしたり静かな環境を確保したりして、愛犬や愛猫に合ったストレス解消法を試してみましょう。
皮膚炎が原因の場合や、二次的に皮膚炎を起こしている場合、飼い主様の判断で市販の製品(スプレーや軟膏)を使うのはあまりお勧めできません。犬や猫の皮膚病の原因は多岐にわたるため、原因に合った治療を行わなければ、悪化したり慢性化したりするリスクがあるため、注意しましょう。
舐め壊しがおさまったら、再発しないよう予防を徹底することも大切です。なるべくストレスが溜まらない生活を心がけ、日常的なブラッシングや定期的なシャンプーなどを行い、皮膚を健やかに保ちましょう。
動物病院での治療について
皮膚に異常が見られる場合はもちろん、皮膚に異常がなくてもグルーミングがいつもより多いと感じる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。病院では皮膚に異常がないかどうかを確認するために、いくつかの皮膚検査を行います。
治療内容は検査の結果に応じて、エリザベスカラーの装着と薬物療法、シャンプー療法などを行い、心因性の場合は原因の除去も行います。
また、慢性化している場合は継続的なケアが重要であり、特にアレルギーが関わっている場合は生涯にわたって治療を行う必要があります。
いずれにしても早めに治療を行うことで症状を最小限に抑えることができるため、疑わしい症状が見られた場合は、早めに動物病院を受診してください。
まとめ
舐め壊しは進行すると皮膚に傷がついて出血したり、皮膚が硬く黒ずんでしまったりすることもあるため、症状が悪化する前に病院を受診することが大切です。日頃から愛犬や愛猫の行動や皮膚の状態を観察するクセをつけ、気になる症状が見られた場合は、一度当院までご相談ください。
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