コラム
【コラム】愛犬や愛猫の薬の上手な飲ませ方|獣医師が教える失敗しない方法
愛犬や愛猫に薬を飲ませたいのに、なかなか口を開けてくれなかったり、上手に吐き出したりと、悪戦苦闘する飼い主様は少なくありません。実際に獣医師として飼い主様から相談を受けることも多く、上手な飲ませ方や失敗しない方法があれば知りたいという方が多いのではないでしょうか。
今回は犬や猫に薬を飲ませる方法について、NG行為やどうしても飲まない場合の対処法などをご紹介します。
なぜ犬や猫は薬を嫌がるのか?
犬や猫は人よりも嗅覚が優れていて、犬の嗅覚は人の1億倍、猫の嗅覚は人の20〜30万倍といわれています。また、犬や猫は本能的に苦味を避けようとする習性があります。
そのため、薬特有の苦みやニオイを感知しやすく、警戒心から薬を嫌がることが多いとされています。
薬を確実に飲ませるための準備
まずは用法用量など、獣医師からの処方箋の内容を確認します。また、薬によっては食前や食後に与える必要がある場ものもあります。そのため、獣医師の指示をしっかり確認し、間違えないよう注意して与えることが大切です。
また、中には薬の袋を見ただけで警戒心を強めてしまう子もいます。そのため、薬を用意する際は、犬や猫から見えない場所で行うようにしましょう。
薬を確実に飲ませるためのグッズも、必要に応じて用意します。錠剤をうまく避けたり吐き出したりしてしまう場合はピルクラッシャーを使用して砕いて飲ませたり、口を頑なに開けさせてくれない場合はシリンジ(品種や薬の量などに合わせてサイズは調整してください)を使って飲ませたりすると、うまくいくことがあります。また、投薬補助のおやつを使うのもひとつの手です。
犬に薬を飲ませる方法
投薬の手順は薬の種類に応じて異なります。
<錠剤・カプセル>
①マズルを包み込むように上顎を持ち、口を開けさせる
②錠剤やカプセルをなるべく口の奥の方に押し込む
③すぐに口を閉じて、そのまま上を向かせる
④喉を軽くマッサージして飲み込ませる
<粉薬>
①少量の水で薬を溶き、ペースト状にする
②マズルを包み込むように上顎を持ち、口を開けさせる
③指先にペースト状にした薬をとり、上顎に塗りつける
④お水を飲ませる
<液体・シロップ>
①シリンジで薬を吸う
②軽く上を向かせて上唇を少し持ち上げる
※上を向かせすぎると誤嚥する危険性があるため、注意しましょう
③口の横からスポイトを差し込み、少しずつ薬を飲ませる
猫に薬を飲ませる方法
投薬方法は基本的に犬と同じです。しかし、猫の場合は犬よりも警戒心が強い子が多く、投薬に苦戦する飼い主様は少なくありません。
そのため、投薬を嫌がる場合は、以下の方法を試してみてください。
<ウェットフードに混ぜる>
錠剤やカプセル、粉薬であれば、一口くらいの量のウェットフードに混ぜて食前に与えましょう。
<流動食に混ぜる>
錠剤やカプセル(中身だけ)、粉薬であれば流動食に混ぜ、シリンジに詰めて少しずつ口の中に流し込みましょう。
<ガムシロップで練る>
錠剤やカプセル(中身だけ)、粉薬であれば、極少量のガムシロップでペースト状に練ったものを上顎に塗って飲ませてみてください。
薬を飲ませる際のNG行為
愛犬や愛猫が嫌がっているのに無理やり口をこじ開けようとすると、指を噛まれてしまったり、投薬を拒絶するようになってしまったりするリスクがあります。そのため、どうしても口を開けてくれない場合は、投薬補助おやつやウェットフードなどを利用して、口を開けずに投薬できる方法を試してみましょう。
また、いくら食いつきが良いからといって、人間用の食べ物に混ぜるのはNGです。中毒を引き起こしたり、塩分過多になってしまったりするリスクがあります。さらに、犬や猫用のフードを食べなくなってしまったり、栄養バランスが崩れたりする恐れもあるため、基本的には避けるようにしましょう。
どうしても薬を飲まない場合は?
無理に薬を飲ませようとすると、飼い主様との信頼関係が崩れてしまったり、大きなストレスになってしまったりするリスクもあります。
そのため、どの方法を試しても薬を飲んでくれない場合、まずは動物病院に相談しましょう。別の薬や他の形状の薬に変えることができるかもしれませんし、投薬指導を受けることもできます。お薬を飲めない状態が続くことはあまり良くないため、なるべく早めに相談してください。
まとめ
愛犬や愛猫のためだとわかっていても、投薬がうまくいかないと飼い主様のストレスも大きくなってしまいますし、不安にもなりますよね。そのため、犬や猫にとっても飼い主様にとってもストレスが最小限に済むよう、さまざまな方法を試しながら、最適な投薬方法を見つけてみてください。
こちらでご紹介した内容を参考に、不安やご不明点がございましたら、お気軽に当院までご相談ください。
川崎市中原区の「馬場動物病院」
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